1. OSINT とは何か
OSINT (Open Source Intelligence、 オープンソース・インテリジェンス) は、 公開されている情報のみを集約・分析して有用な知見を引き出す手法。 ハッキングや非公開情報の入手は含まれません。
主な情報源:
- 検索エンジン: Google / Yahoo! / Bing
- SNS: X / LinkedIn / Facebook
- WHOIS / DNS / SSL 透明性ログ: ドメイン情報
- アーカイブ: Wayback Machine
- 公開データベース: 公的機関 / 法人登記 / 特許検索
- ニュース / プレスリリース: メディア掲載歴
本来は セキュリティ業界 / 報道機関 / 法執行機関 が使うものですが、 ビジネスの自社調査 (ブランド健康診断) にも応用できます。
2. ビジネスシーンでの OSINT 活用 5 ケース
リニューアル前のサイト / 過去のキャンペーン内容を Wayback Machine で確認。 法的トラブル時の証拠保全にも。
知らないうちに開いていた dev / stg / 旧キャンペーンサブドメインを発見。 セキュリティ穴の発見に直結。
競合のサブドメイン構成、 過去のサービス展開、 SSL 証明書の発行履歴から 事業の規模 / 方向性を推測。
ブランド名に類似したドメイン (タイポスクワット) を crt.sh で検索。 フィッシングサイトの存在を早期発見。
SecurityTrails で 過去の DNS / NS / IP 変更履歴を確認。 セキュリティインシデント時の原因究明に使える。
3. Wayback Machine の使い方
Wayback Machine は、 Internet Archive が運営する Web ページの履歴アーカイブ。 1996 年から世界中の Web ページを定期的に保存しており、 過去のスナップショットが見られます。
基本的な使い方:
- web.archive.org にアクセス
- 調べたい URL を入力 (例:
example.com) - カレンダー UI で 取得済みスナップショットの日付が表示
- 日付をクリックして当時のページを閲覧
活用シーン:
- サイトリニューアル前の証拠保全: 「あの時こう書いてた」と振り返る
- 競合の戦略変遷: 過去 3 年でメッセージがどう変わったか
- 法的トラブル時の証拠: 「当時のサイト内容」が裁判で必要な時
- 取材 / リサーチ: ジャーナリスト・研究者の定番ツール
4. crt.sh によるサブドメイン発見
crt.sh は、 SSL 証明書の 透明性ログ (Certificate Transparency) を検索できるサイト。 発行された SSL 証明書は すべて公開ログに記録 される仕組みになっており、 ここからサブドメインを発見できます。
使い方:
- crt.sh にアクセス
- 「Identity」欄にドメインを入力 (例:
%.example.com) - 過去に発行されたすべての SSL 証明書がリスト表示
- 「Common Name」「Matching Identities」欄から サブドメイン一覧を取得
💡 これで分かること: 自社が把握していない古い dev.example.com や staging.example.com 等。 セキュリティの穴になっている場合があるので、 使っていないなら削除推奨。
5. SecurityTrails の活用
SecurityTrails は、 ドメインの DNS 履歴 / WHOIS 履歴 / サブドメイン を網羅的に提供する API サービス。 無料枠でも数十リクエスト / 日できるので、 ライト調査には十分。
主な機能:
- DNS 履歴: A / MX / NS の過去変更履歴
- WHOIS 履歴: 登録者情報の変遷
- サブドメイン一覧: crt.sh より広範な情報源を統合
- 関連ドメイン: 同じ運営者と思われる他ドメイン
本ツール (Chrome 拡張) では、 SecurityTrails API キーを入力欄に設定すると 診断レポートに自動統合されます。 無料 API キーは公式サイトで取得可能。
6. 法的注意点 / 倫理
OSINT は 公開情報のみ 扱うため基本的に合法ですが、 以下に注意:
- 個人情報保護法: 個人の情報を集めて二次利用すると規制対象
- 不正アクセス禁止法: パスワード破り / SQL インジェクション等は OSINT ではなくハッキング
- 名誉毀損 / プライバシー侵害: 集めた情報を公開する際は法的リスクを考慮
- API 利用規約: SecurityTrails / 各種 API の利用規約に従う
自社の調査 (本ツールが想定する用途) は基本的に問題なし。 他社調査でも 公開情報の範囲 なら合法ですが、 倫理面を意識して。
7. まとめ
- OSINT は 公開情報のみ 扱う合法的な調査手法
- 自社の ブランド健康診断 / セキュリティ確認 に応用できる
- Wayback Machine で過去スナップショット、 crt.sh でサブドメイン、 SecurityTrails で DNS 履歴
- 本ツール (Chrome 拡張) はこれらの OSINT 機能を 1 クリックで統合実行
- 個人情報保護法・倫理に配慮した利用が前提